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KUGURUの第1回企画展は上山市在住の画家 原田圭を紹介します。卵テンペラで描かれる原田の巨大かつ重層な絵画は、騒めく肌理と解剖学的モチーフで、見る者に言い知れぬショックを与えます。本展「掻き分ける人」は絵画作品ではなく、原田が日々描きためている膨大なドローイングを展示し、その蠱惑的なイメージの源泉を辿っていきます。
開廊時間:11:00〜20:00
休廊日:毎週月曜日
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羽黒の山伏は、白い死に装束をまとって山々を駈けめぐり、「胎内くぐり」の行で、この現世にもういちど生まれてくる。狭い岩穴に身をよじってもぐり込んだとき、僕は「山に食べられる」気がした。山は女だ。胎児は腹の中で、母親を食べているともいえるから、僕は山に食べられながら同時に「山を食べた」のかもしれない。 原田さんは、このヒトガタを「腸人間」と呼ぶ。蔵王山の麓、山形県上山市で暮し、ひとり山や森に分け入るという画家は、そこで観察した昆虫や葉脈や菌類、山々の稜線や地図などから、「腸人間」組成のためのイメージの部位を調達する。 僕たちの眼前で、乾いたクラゲのようにべったりと横たわる腸人間。彼は、山に捕食され、その腹のなかで消化・分解されているのか。はたまた山を食べ、吸収しようとしているのか。痛ましい棄児なのか、山に臥すダイダラボッチか。 実は僕自身も、推しておきながら、原田さんの絵を消化できないでいる。野性を剥き出しにする「自然」を、あるいは老いていく「地域」を、わが身に「いれるか、ひらくか、うらがえすか」。絵画は、このようなビジョンを果たして消化できるメディアなのだろうか。 僕たちが応えあぐねている間に、暗い薮の中や、アパートの一室で、人知れず溶解するアジア的身体がある。腸人間は、そのように今もどこかに在るはずの、無数の声なき声を表象しているように僕には思えるのだが…。あなたはどうだろうか。
宮本武典/キュレーター
(VOCA 2015 カタログより転載)
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原田圭(はらだ・けい)/画家。1987年山形県東根市生まれ。東北芸術工科大学大学院洋画領域修了後、東京藝術大学油画技法材料研究室で古典技法を習得。主な個展に「腸人間の瞬き」(2014/fuma contemporary art)。アートアワードトーキョー丸の内2014、VOCA 2015(上野の森美術館)に選出される。山形県上山市在住。
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企画協力:宮本武典、akaoni 問合せ:023-679-5433、info@maru-r.co.jp(株式会社マルアール)
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